「人生100年時代」とも云われるご時世では、五十代後半なんてまだまだ若い。仕事や趣味を意欲的にこなしている諸先輩方は、巷でいくらでもお見かけします。
とはいうものの、四十代と比べると、やっぱり体力気力ともに衰えを感じる還暦前。身体はあちこち痛いし、昔みたいには頑張れない。あとはもう下り坂をひたすら転がり落ちるだけ・・・なんて弱気になるのも、そのお年頃のみなさんにとっては偽らざる本音でしょう(少なくとも私はそうです苦笑)。
でもね、人生って思わぬところに起爆剤が潜んでいるもので、それがうまく働くと、いつもの景色やそれまでの生き方が、ガラリと変わってしまうことも。これは誰にでも起こり得ることでしょう。
2009年公開の映画『クレイジー・ハート(スコット・クーパー監督/ブッチャーズ・ラン・フィルムほか制作/フォックス・サーチライトほか配給)』は、まさにそんな男のおとぎ話を描いた作品ですが、初老のカントリー歌手を演じたジェフ・ブリッジスの魅力的な演技と、素晴らしい劇中歌が奏功して、地味なお話ながらも、数々の映画賞を受賞しました。
主人公バッドが、恋人のために作った劇中歌には、なんとか生まれ変わりたいと必死にもがく、彼の希望が込められていて、しみじみとした感動を与えてくれます。
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往年の人気カントリー歌手、バッド・ブレイク(ジェフ・ブリッジス)は57歳。酒浸りのだらしない身体をひきずりつつ、昔のファンが主催してくれる小さな舞台をドサ回りしながら、なんとか糊口を凌いでいます。結婚と離婚を繰り返してきた人生、今は家族と呼べる存在もいません。
かつての弟子だったトミー(コリン・ファレル)は、いまや飛ぶ鳥を落とす勢いの人気歌手ですが、彼から曲づくりの仕事を受けることはプライドが許しません。新しい曲は、もう書けないと思い込んでもいます。
そんなバッドの前に、魅力的な女性のジーン(マギー・ギレンホール)が現れます。彼女と息子バディの家庭生活に癒しを感じるバッド。ジーンは彼に、息子の前での飲酒だけはしないよう約束させますが、ある日、バッドはその誓いを簡単に破ってしまいます。その代償は、バッドにとって、胸を引き裂かれるほどの苦悩に満ちたものとなります。
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