堕落した「電飾カウボーイ」が、愛馬とともに自由と野性を取り戻す逃避行劇。

先月16日、ハリウッドを代表する俳優で映画監督の、ロバート・レッドフォードさんが他界しました。享年89歳でした。

 

私が初めて観た彼の主演映画は、1969年公開の作品『明日に向かって撃て!(ジョージ・ロイ・ヒル監督)』です。西部開拓時代のアメリカに実在した銀行強盗犯を、ポール・ニューマンとともに演じました。衝撃的なラストシーンも含めて、記憶に強く残る傑作でした。

 

整った風貌ながら、世間の主流からは一歩外れた立ち位置に生きる役柄を演じることが多かったことで、孤高の映画スターという印象が強かったように思います。

 

彼は、俳優や監督としてのキャリア以外に、環境保護活動家としての顔もよく知られていました。若い頃から、経済優先で進められる都市やエネルギー源開発に違和感を抱き、それによって損なわれる大自然の姿や、結果として生じるかもしれない気候変動の危機に、警鐘を鳴らし続けました。

 

地球の環境にも、そしてそこに暮らす人間の生き方にも、ナチュラルなものを求め続けた彼の思想は、関わった映画作品のいくつかで感じ取ることが出来ます。今回ご紹介する1979年公開の『出逢い(シドニー・ポラック監督/ラスター・フィルムズ製作、コロンビアピクチャーズ他配給)』も、レッドフォードらしさが感じられる佳作のひとつとして、ぜひ注目してもらいたい作品です。

 

*********************************

 

サニー(ロバート・レッドフォ―ド)は、かつてのロデオ世界チャンピオン。今でも世間の人気スターに変わりはありませんが、その生活は酒浸りの荒れ放題です。

 

アムコ産業が販売するオートミールの広告塔として、各地のイベントに出演する彼の役目は、電飾衣装を着て馬にまたがり、ファンに笑顔を振りまくこと。自分らしさを失い、不自由極まりない日々の生活に自暴自棄のサニー。

 

ある日、会場で見かけた愛馬のライジングスター号は、アムコ社に薬漬け状態でおとなしく飼いならされ、どこか虚ろな表情です。怒りを覚えたサニーは、愛馬にまたがり会場の外へ。電飾衣装のケーブルを引きちぎり、疾駆するサニー。愛馬を自然に解放するための逃避行がはじまりました。

 

*********************************