家族、ことに親子の関係というものは、本当に厄介なものですね……なんてことを、数か月前にもこのブログで書きました。大切なことを打ち明けるのも、関係の修復や改善を試みるのも、家族によっては、他人以上にエネルギーを使うもの。それをクリアするやり方も、まさに千差万別だったりするでしょう。
2019年公開の『劇場版 ファイナルファンタジーⅩⅣ 光のお父さん(野口輝夫監督/ギャガ配給)』は、人気ゲーム『ファイナルファンタジー(以下『FF』と略)』を通じて、長らく無関心同士だった家族(父子)の関係が、修復されていく様子を描いた作品です。人気ゲームブロガー、マイディーさんの体験談がベースになっています。
アキオ(坂口健太郎)は、広告会社に勤める内気な青年で、母親と妹との三人暮らし。自室では、大好きなゲーム『FF』の仮想世界で、『光の戦士』を称するゲーム仲間との冒険や会話などを、毎日楽しんでいます。
そんなアキオの家族のもとに、単身赴任していた父親(吉田鋼太郎)が帰ってきました。長らく勤めてきた会社では、次期社長を有望視されてもいた父親でしたが、家族への事前の相談もなく、あっさりと辞めて戻ってきたのです。
もともと、家庭内では寡黙な父。会社を辞めた理由について、話すことは一切ありません。しかしながら、どことなく元気がない彼のことを、アキオは心配しています。
アキオは、父親の胸のうちを知りたくて、一計を案じます。それは、『FF』の仮想世界に彼を招待し、素性を明かすことなく友達になること。一緒に冒険を楽しみながら、次第に心を開かせるという計画です。これは、アキオ自身の経験から生まれたアイデアでした。アキオは、ゲーム仲間たちに協力を要請し、この計画を『光のお父さん計画』と命名します。
退職のお祝いとして、ゲーム機と『FF』のソフトを、父にプレゼントするアキオ。さほど乗り気ではない様子の父でしたが、アキオの目論見はまんまと当たり、父はキャラクターを準備して、ゲームの仮想世界に参加。正体を隠したアキオとも、親しくなりました。
さて、アキオは父の心を開き、コトの真相に辿り着けるのか。親と子の、心の旅路が始まります。
追記:
ちなみに、この映画のベースとなったブログを連載されていたマイディーさんは、この映画の完成を見届けた後、病に倒れてお亡くなりになられたそうです。ご冥福をお祈り申し上げます。
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