お客様とのはじめての面談や、セミナーの冒頭では、必ず僕のミッションのお話をさせて頂いています。これからの少子高齢社会、あらゆる面で、家族はもちろんのこと、国や自治体の社会保障にも頼れない世の中がやって来ます。
つまり、「自分の事は自分でなんとかする」という更なる自助努力が求められるなかで、多くの人が生涯現役で働き続ける道を選択せざるを得ないのではないかと。僕自身がそれを見越して、今の仕事に従事していますし、どうせ目指さねばならないならば、出来るだけポジティブなイメージでお伝えしたいと考えてもいます。
しかしながら、今後の日本経済の行方について話が及ぶと、どうしても悲観的なニュアンスが強くなってしまうことに、懸念を感じていました。悲観的見方の根本には、わが国の少子高齢社会における人口減があります。国の潜在的な成長を予測するうえで、人口の多寡は大きなポイントなのです。国連の予測では、20年後の世界人口は18%増。それに対し、日本は14%減となっています。
ところが最近、日本における今後の人口減現象こそが、長期低迷の経済的課題を概ね解決させるのだと主張する本に出会いました。
『日本経済が黄金期に入ったこれだけの理由(塚崎公義著/河出書房新社)』は、久留米大学商学部教授の塚崎先生が、数年前から積極的に唱えられている持論を、一冊の本にまとめられたものです。
先生は、バブル崩壊後の20年に及ぶ長期不振の原因を、「皆が勤勉と倹約に励んだ」末の需給バランス崩壊にあるとし、それが失業者の増大を招いたと分析されています。一方で、今後の少子高齢社会における労働者不足は、失業リスクや劣悪な雇用環境を解消する効果が期待出来るとし、人々が生き生きと働ける黄金時代が到来すると結論付けられているのです。
楽観的論調の中にも、極めて緻密でクリティカルな考察が随所に見られます。景気は悲観論に敏感ですが、少し観点を変えると、意外な好条件が揃っていることに気付かされるはずです。
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