昭和30年代半ばからの「東洋の奇跡」。その後の長きに渡る安定期には「ジャパン・アズ・ナンバーワン」。驚異の成長を極めた当時の日本経済は、世界中から多くの憧憬と畏怖を集めました。バブル期の働き方を表現した、某ドリンク剤の「24時間戦えますか」というキャッチは、当時の日本人のバイタリティを彷彿とさせます。
平成に入ると、バブル景気の崩壊がわが国の金融経済を震撼させます。その後の日本は、「失われた20年」と呼ばれる低成長経済期へと突入し、デフレ経済は多くの失業者や労働弱者を産みました。
高度経済成長期の前後に育まれたわが国の社会保障制度は、そのような時代の趨勢、日々変化していく社会の要請に応える事が出来ず、硬直化した状態のまま、今日を迎えてしまいました。
先日、自民党の厚生労働部会長を務める小泉進次郎議員らのプロジェクトチームが、『令和の時代の社会保障改革』と題した提言案をまとめた、との報道がありました。政府が6月に決める経済財政運営の基本方針に、この提言を反映させるのが目的のようです。
(掲載元:日本経済新聞2019/4/12朝刊)
小泉氏はこの提言案の発表にあたり、人生100年時代には転職や学び直しを繰り返すとして、「就労を阻害するあらゆる壁を撤廃する」と指摘。正規雇用やフリーランスに限らず、時短や兼業・副業も含め、多様な働き方を社会保障面から支援していきたい旨を述べました。
また、高齢者らの生活を支える取り組みにおいても、「給付削減か負担拡大かという発想を超えた社会保障改革の第3の道を進める」として、支えられる側を減らし、支える側を増やす発想のもと、特定の年齢や働き方が損しない制度の実現を目指します。今後の改革の進展に注目したいところです。
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