今回は、株式会社スペースフードラボ取締役の浅野高光さんにご登壇いただきました。今後、参入企業のすそ野の広がりが期待されている宇宙の商業利用。浅野さんは、前職で培ったマーケティング手法やJAXAとの協働で得られた知見をもとに、全国各地の企業や自治体と連携しながら、さまざまな取り組みのお手伝いに奔走されています。その取り組みを簡潔に表現すると、「宇宙と地球の未来を食でつなぐ」事業の創造ということになります。
米国主導の「アルテミス計画」に起因するかたちで、月や火星での生活環境を想定した「衣食住」の可能性を探るプロジェクトが、世界中で加速化しています。日本でも、宇宙産業に携わるスタートアップ企業の従業員増加率は、他の業種と比較して、昨年は最も大きかったのだそうです。彼らのビジネスを支援する国や金融機関、投資家の(将来的なリターンに対する)期待感の現れとも云えるでしょう。
世界中で宇宙ビジネスへの期待が高まる中で、日本の企業はどのような分野を強みとして競争に参入していけばよいのか。浅野さんは、その強みを「日本人の食に対するこだわり」に見出しています。
地球外での生活は、人間にとっての極限環境。かなりストレスフルな状況です。食生活の豊かさが、その解消の大きな一助となることは、想像に難くありません。日本人が、これまで世界に対して発揮してきた、食文化に対する創意工夫の知恵は、きっと宇宙開発においても結実する。特に「菓子」は狙い目なのだとか。日本ほど、菓子に栄養価や食感の多様性を求める国は希少だからです。
食文化の多様性を活かすためにも、より多くの日本の事業体が宇宙開発に参入すべき。浅野さんはそう信じて、企業や自治体などへの働きかけを続けています。
コメントをお書きください